INTRODUCTION of 映画のアナログ盤

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音楽と映像がターンテーブルで出会う時

zoetrope1.pngMusic & Art Weekend。音楽を筆頭に様々なアートを集めた楽しい街フェス。映画のジャンルからも何かしら参加することになったときゾエトロープ(zoetrope)を思い出しました。ゾエトロープは、映画のエッセンスを究極に突き詰めたシンプルな玩具です。ギリシャ語でzoeは「命」、tropeは「回転」を意味しており、さしずめ、回転することで絵が命を得たように動き出すことからイメージしたのでしょう。これにASYLUMを象徴する音楽のイメージを合わせた時《映画のアナログ盤》は生まれました。レコードに動画を描き、レコードプレーヤーで上映する映画。音の代わりに映像が流れだすプレーヤーとも言えます。

思い描いたのは以前観たコーエン兄弟の映画『オー・ブラザー!(O Brother, Where Art Thou?)』のワンシーン。荒野の真ん中の掘っ立て小屋のようなスタジオで、主人公たちがミックスなしの一発録音をする場面。録音はレコードの原盤にレコード針で直接掘られていきます。歌い終わると同時に、録音されたレコードがそこにある。そのシンプルな存在感に、映像の作り手として嫉妬したのを覚えています。


▲『オー・ブラザー!』録音場面

だいたい複雑で大勢の人の手をかける映画は、いつだって音楽の即興性に嫉妬しつづける運命なのです。もちろんビデオは撮影してすぐに見ることはできますが、フィルムやレコードと違って、記録されたテープを見ても、そこに記録された映像の実感は得られないのです。デジタル信号もまたしかり。温もりに欠けます。

ゼンマイが伸びて歯車が回る機械。ペダルを踏めば前に進む自転車。針が震えて音が出るレコード。フィルムを光が通り絵が映る映画。原因と結果がシンプルにつながるアナログの機械たちは「理屈抜きに理屈」がわかる安心感があります。映画も音楽も、デジタルに大きく舵を取り始めた今の時代に、ASYLUMという場でアナログに立ち返り、何かが生まれる瞬間を「理屈抜きの理屈」を確かめながら、シンプルな感動を届けられればという思いから、《映画のアナログ盤》は動き始めました。(Director 真喜屋力)