PROJECT ☓☓ プレイヤー開発秘話!
《映画のアナログ盤》。それは映画をレコードに見立てて遊ぶ試み。遊びは中途半端ではいけない。遊び半分の遊びほどグダグダなものはないからだ。本気で遊ぶため、プロジェクトチームにとって専用プレイヤーの開発が最重要課題とされた。ディレクターの真喜屋からの指示が飛ぶ。「アーティストが自分の作品を回したいと思えるような、かっこいいプレイヤーでなくては」。
ベースとなるのは真喜屋がこの日のために温存していたレコードプレイヤー。持って100メートルくらい歩くと肩こりするほど重たい。きっとまともに金を払うと高いに違いない。真喜屋は半年前にこれを数千円で買い叩いていた。高いプレイヤーもレコードがなくてはただの粗大ごみ。新たな命を吹き込むその日のための投資だった。そしてその日がやってきたのだ。
ターンテーブルの開発
まず大事なのはターンテーブルに乗る円筒だった。これは正円でなければ、スリット越しに観る画像がぶれてしまい、まともに絵が見ることができない。しかし直径30センチの正円を作るのは困難だった。試作品は厚紙を使用したが持ち運ぶたびに潰れたり、歪んだりしてもとにもどらない。立ちはだかる難問にプロジェクトは停滞するかに見えたそのとき、プロデューサーの古波津が叫ぶ「四角いパネルを組み合わせましょう!」。確かに円筒の内壁に絵を配置する通常のゾエトロープと違い、レコードをターンテーブルに置く今回の方式は円である必要はない。同じ大きさの四角形を組み合わせ、正12角形を作るのは正円をつくるより簡単だ。スチロールボードなら強度も上がるし造作がしやすい。特許を取ろうと思ったが、ゾエトロープ発展のためにやめておいた。また、底面に動画を置くため、できるだけ見下ろせるようにスリットは高さが必要だということが、試作品による実験で判明。背高のっぽの正12角形が誕生した。
照明はアームについていなくてはかっこ悪い
次の難問は照明だった。スリット越しに動画を見るため、目に入る映像の光量は著しく低下することは試作品で証明された。明るい昼間に外で行うイベントには向かないのだ。光を当てなければならない。そこでも真喜屋はこだわった。「単に照明スタンドを立てるだけでは面白くない。レコードに針を落とすように、アームの先に照明を取り付ける方法はないのか」。ゾエトロープをレコードに見立てて遊ぶ以上、その仕掛けは重要なポイントであった。金属部品を作れればすむのだが、そんな道具は持ち合わせていない。低予算なのだ。プロジェクトは大きな壁にぶち当たる。そのとき再び古波津が叫んだ。「水道管。蛇腹のパイプに照明を通しましょう!」。DIYの精神を胸に、古波津はメイクマンに飛んだ。そして最適のサイズの蛇腹パイプを発見する。お値段たったの1260円。
僅かな予算で専用プレイヤーはその姿を見せた。これからさらに、ささやかなマイナーチェンジとブラッシュアップを経て、世界に一つしかない《映画のアナログ盤》専用プレイヤーが、ASYLUMの当日にお披露目となる。老若男女の遊び心を受け止める、素敵な機械となることを目指し、開発は続いていくのだった。「旅はまだ終わらない」って誰かが歌っていたね。


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